3Bees3周年特別セミナー『これからの医療にICTができる真の貢献とは』【セミナーレポート】

11月7日(土)、東京国際フォーラムにて、クリニック経営支援アプリシリーズ「3Bees(スリービーズ)」の3周年を記念し、3Bees3周年特別セミナー「これからの医療にICTができる真の貢献とは」を開催いたしました。

ゲストスピーカーに、今村聡先生(日本医師会副会長)、川渕孝一先生(東京医科歯科大学大学院教授 )をお迎えし、弊社会長で医師の楊浩勇による講演と交流会を加え、全4部構成で行いました。今回のセミナーでは、これからの時代をリードする上で捉えておくべき医療とICTの未来像について、医療や介護、福祉を含めた包括的なヘルスケアや、最新医療ICT事情、これからのクリニックにおけるICTの可能性等の視点から、具体的な事例を交えてお話いただきました。

定員80名のところ、セミナー84名、また、続く交流会は50名以上の方々にご参加いただき、医療の領域におけるICTの今後への関心の高さが伺えました。

Part 1.『今後の地域包括ケアにおけるICTの活用 』今村聡氏(日本医師会 副会長)

今村先生からは、高齢者を取り巻く現状と、かかりつけ医のあり方や、在宅医療と介護の連携を踏まえた地域包括ケアシステムの将来像についてのお話をいただきました。

その後、現在多職種連携においてICTを導入している例では、ICTの導入により「関係者の協力体制が深まりストレスが減った」「患者・利用者の安心感が向上した」「専門職種間の連携により学習機会が増えた」等の効果がある一方で、「サーバーのトラブルでシステムにアクセスできないことがあった」等のトラブルや、「関係者のITリテラシーの問題がありあまり活用できない」「運用費用の負担が大きい」などの課題・問題点が浮き彫りになったことが紹介されました。

今後、「患者の視点」を尊重し、電子メールやファックス等の旧来のツールと並行して利用しながら、「電子版かかりつけ連携手帳」をはじめとしたIT連携ツールの着実な普及を目指していくとのお話でした。

Part 1.『今後の地域包括ケアにおけるICTの活用 』今村聡氏(日本医師会 副会長)

Part 2.『これからの医療とICT』川渕孝一氏(東京医科歯科大学大学院 教授)

川渕先生からは、日本の医療が抱える問題点の例として、東京、京都に次いで医師数が多い徳島県の県内における医師偏在の実情と課題、また、徳島県が実際にとった対応策についてご紹介いただいた後、「Big Dataの幻想」として、医療情報の電子化がぶつかっている壁、すなわち、「分析できるデータ」と「アクセスできる仕組み」が存在していない点についてお話がありました。

現在までに電子化されているデータは、電子化されてはいるものの「分析」するに値する精度に乏しく、レセプト情報は保険者単位で管理されており、属性情報も非常に乏しい(性別・都道府県・時系列がない)ことなどが、改善が期待される点として紹介されました。そのほか、レセプトが電子化された今も、レセプトデータが政策に活かされていないなど、課題は山積みであることが指摘されました。

また、参考として、韓国のレセプト審査システム、米国におけるBIG DATAの活用例、更に、米国の最新ICTの注目事例をご紹介いただきました。

Part 2.『これからの医療とICT』川渕孝一氏(東京医科歯科大学大学院 教授)

Part 3.『日本の診療現場におけるICT の未来』楊浩勇(医療法人健究社理事長 医師/株式会社メディ・ウェブ 代表取締役会長/慶応義塾大学医学部 非常勤講師)

楊からは、自身が医師として、医療情報の重要性にどのように気づき、以来20年間どのような目的意識を持ってこれまで歩んできたのか、そして、医療情報を単なるデータから知識や知恵に落としこむための息の長い取り組みの中で、どのような気づきを得てきたか等が紹介されました。

その後、開業医の目線で、本当にクリニックの経営と業務に役立つ、接続性が高くて導入しやすく効果も高いシステムとはどのようなものか、また、それらのツールを通じて具体的にどのような成果を期待できるのか等が、実際の診療所の事例とデータを元に紹介されました。

そうした診療支援系のアプリを活用した事例や構想として、クリニック経営のサポートや、臨床検査データの医療施設および患者アプリ上での閲覧、医療機器からのデータと医療機関および患者アプリとの連携等が紹介されました。

Part 4. 交流会

鈴木康裕厚生労働省技術総括審議官の乾杯のご発声で、交流会が和やかにスタートしました。
『これからの医療にICTができる真の貢献とは』Part 4. 交流会

Part 2でご登壇くださった川渕先生、同日のセミナー前の時間帯に行われていた3Bees User Meeting 2015からセミナーに参加してくださった医師のみなさま、開業医、勤務医、大学の研究者、官庁、医療周辺企業、医療IT関連企業、メディア等媒体等、幅広い業種のおよそ50名の方々がご参加くださいました。

講演の内容についての議論を交わしたり、思いがけない話題に花が咲いたり、予想外の再会を楽しんだりと、わずかな時間ではありましたが、さまざまに交流を深めたひとときでした。

『これからの医療にICTができる真の貢献とは』Part 4. 交流会
『これからの医療にICTができる真の貢献とは』Part 4. 交流会

会場内では、弊社スタッフが質問ボードを引っさげて巡回。『医療ICTで、あなたが特に注目する領域は!? 』というお題に対し、セミナーの内容を反映してか、次のような回答結果になりました。

医療ICTで、あなたが特に注目する領域とは?(回答)

参加者の声

最後に、ご参加くださいました方々からいただきました声の一部をご紹介いたします。

・色々な角度から医療ICTの可能性を感じることができた。
・幅広い演者からの講演が参考になった。
・自分の「役割」これからする事が整理できました。
・医療の全体的な流れが分かり、非常に役に立ちました。
・在宅の世界はたいへんな状況、それを支え支援することが大切だが、ICTを活用する事で少しでも負担を減らし、患者さんにも喜ばれる世界が来て欲しい。
・講師の選出がすばらしく、目からうろこのお話が多くありました。

株式会社メディ・ウェブでは、「最新のICTの力で、医療機関・患者・医療関連企業の3者の笑顔を増やす」という3Beesのミッションを実現するため、今後も、様々な取り組みを行って参ります。

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