アメリカの医療IT化(ICT化)の現状と動向 | なぜクリニックがITを導入するのか?

アメリカの医療IT(ICT)化の現状と動向 | なぜクリニックがITを導入するのか?
ここ数年のIT(ICT)の発達と進化を受けて、周知のとおり、医療の分野にも様々なITを活用したツールが導入されています。先生方の中にも、クリニックを経営するにあたり、実際に電子カルテやレセコン、予約管理システムなど、ITソフトウエアを導入したり、導入を検討したりしたご経験のある方は多いのではないでしょうか。

今回の記事では、ITソフトウエアの中でもPMS(Practice Management System/Software)に焦点を当て、アメリカにおける現状やシステム導入を決めた理由・モチベーション、ソフトウエアがクリニック経営にとってどのようなメリットがあるのかをご紹介します。

まずは、PMS(Practice Management System/Software)というまだ日本では馴染みの薄い言葉の定義について簡単に解説しましょう。Wikipediaにも「Medical practice management software (PMS) is a category of healthcare software that deals with the day-to-day operations of a medical practice.」とあるように、日々の診療を支えるソフトウエア群ないしはシステムのことを指します。アメリカではBillingシステムを含む場合が通常で、一部電子カルテ(EHR)を含む場合もあるようです。

医療機関のIT化のアメリカにおける現状とは?

Medical Practice Management Software BuyerView | 2014によると、2014年時点でおよそ55%の医師がPMSを導入し、クリニックを運営しています。また8%の医師は、ソフトウエア管理と紙や既存のエクセルなどによる人力管理を併用していると回答しています。

医療機関のIT化のアメリカにおける現状

この結果からわかるように、およそ6割の医師が何かしらのPMSを導入していることが伺えます。
※本調査でのソフトウエア・PMSには、EMR(電子カルテなど)は含まれていません。

クリニックなどがソフトウエア(PMS)を買い替える理由のトップ3は?

それでは、クリニックなどがIT化をすすめる理由にはどのようなものがあるのでしょうか? 第1位には、ICD-10等、レギュレーション変更への対応という、いわば必要に迫られての買い替え理由があがっています。

2位以下の理由からは、旧型ソフトウエアからの買い替えや現在使っているソフトウエアが使いにくい、といった「簡単でつかいやすい最新ソフトウエア」に対する強いニーズがうかがえます。

クリニックがPMSを買い替える理由

すでにソフトウエアの買い替えニーズが存在するアメリカ。オバマ政権は、2011年に医療分野でのデジタル化をサポートするために28億ドルの補助金を用意するなど、医療のIT化に積極的に取り組んでいます。

参考:Heads in the cloud | The Economist

はじめてソフトウエア(PMS)を導入する際のモチベーションとは?

つぎに、PMSをはじめて導入する際の導入理由を見てみましょう。

PMSをはじめて導入する理由

上記のグラフにあるように、ソフトウエアに期待する一番のポイントは、経営や組織の効率化であることがうかがえます。他には、電子カルテなどをすでに導入している場合に連携できるソフトウエアを導入するなど、患者情報の一元管理を実現したいという理由もあげられています。

ここにも、システムの導入でクリニック経営における効率化・コストダウンの実現を目指す姿が見えてきます。

クリニックがIT、特に、クラウドベースのPMSの導入を進める3つの背景とは?

導入のモチベーションには、経営の効率化があげられていますが、ソフトウエア、特に、クラウドベースのPMSを導入することで具体的にはどのような効果・効率化を期待できるのでしょうか。

1.オペレーションコストの削減

まず大きな効果のひとつとして、オペレーションコストの削減があげられます。たとえば、ファイル管理などを手作業で行っている場合はシステムの導入によってその時間を短縮することが期待できますし、予約の管理やチェックインの処理などをIT化することで、業務を大幅に効率化することができます。

2.少ないスタッフでもやりくりしやすくなる(過剰なスタッフを抱えなくてもよくなる)

予約システムの導入によって受付対応がスムーズになったり、平準化によって偏って混雑する日がなくなったりします。それにより、導入後には極端に混雑する時間や曜日を生じなくさせるよう促すこと(平準化)ができるため、過剰なスタッフを配置することが避けられ、人件費の削減につながります。同時に、スタッフが不足している場合、これらの効果により採用そのものを取りやめることができるなど、院長の大きな負担となる場合が多い採用コストを削減することができます。

3.パッケージ(インストール)型のソフトよりアップデートが容易

特にクラウド型の医療ソフトウエアに当てはまるのですが、旧来のパソコンにインストールして使うパッケージ型と比較し、アップデートが非常に簡単なのも大きく、常に最新のソフトウエアが手軽に利用できることも大きなメリットでしょう。
また、パッケージ型のソフトウエアは値段が高いことも多いのですが、クラウド型のソフトウエアはサーバー管理なども不要なので、導入・運用コスト共に低い傾向があります。

実際に先のアメリカの調査でも下記のように、圧倒的にウェブで利用するタイプのソフトウエアの導入が多く、自院で管理するタイプ(オンプレミス)は12%にとどまっています。

クリニックのPMSはWeb-baseが主流

日本でも進む医療機関のIT化

日本でも、2024年には、医療分野のクラウドサービスの市場規模は2014年と比較して10倍の1,800億円程度に成長すると見込まれています。弊社が提供するクリニック経営をサポートするソフトウエア「3Bees(スリービーズ)」も含めて、クリニックの経営にPMSの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

調査元:Medical Practice Management Software Report




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