THE 3Bees POST



待ち時間を短縮しながらスタッフの負担軽減と増患もできる!
ディズニーリゾート<ファストパス>に学ぶ、「時間帯予約」活用術 その1

2017年5月10日 at 10:30 AM

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はじめに

「予約制」というと、歯科や美容整形、心療内科等でよく見られる「完全予約制」をイメージされる方も多いと思います。一方、3Beesユーザーの先生方の中には、予約システムを通常用いられる順番制(先着順番制)と併用されることで、待ち時間の短縮や患者満足度の向上、リピート率の向上など、多くの成果を引き出していらっしゃるケースが多数見られます。今回は、順番制と併用されている予約制の中でも特に、ディズニーリゾートの<ファストパス>に近い形で予約システムを活用する「時間(帯)予約」、つまり、曜日や時間帯により予約患者数を制限したうえで、厳密な診療時間ではなく診察する「時間帯」を予め確保できる予約スタイルについて、その概要とメリット、また、メリットを最大限に引き出す活用術を3回の連載でご紹介します。

ファストパスとは

ご存知の方も多いと思いますが、ファストパスとは、ディズニーリゾートで人気のアトラクションに導入されている時間帯指定の優先搭乗チケットです。該当するアトラクションには、「スタンバイ」の行列と「ファストパス」の行列が併存しています。「スタンバイ」では、実際に列に並んで先着順でアトラクションに案内される一方、「ファストパス」では、まずチケット(ファストパス)を取得し、チケットに記載された指定の時間帯(ディズニーリゾートの場合枠の長さは1時間)にファストパス用の列に並ぶことで優先的に搭乗できます。ファストパスを利用すると、スタンバイの列に並ぶのと比べて実際に列に並んでいる待ち時間を大幅に短縮することができるため、大変人気の高いサービスとなっています。

ファストパスは、「待ち行列理論(Queue Theory)」では「仮想待ち行列(Virtual Queue)」のひとつに数えられ、実際にその場にいることなく順番を確保し、物理的に行列(Queue)に並ぶことなしに自分の順番が来るのを待つことを可能にするものです。また、詳細なアルゴリズムは不明ですが、ファストパスの発行枚数は適宜制限され、過剰に発行されない仕組みになっています。

ファストパスのメリット

ファストパスのメリットは、これまでに多くの論文等でも報告されています。そのうちの主なものをここで整理してみましょう。

ユーザー(来園客)の主なメリット

来園客の視点でファストパスのメリットを整理すると、主なものとして下記があげられます。

  1. 待っている間も拘束されないため、待ち時間を自由に活用できる
  2. いつ順番が来るか不安になることなく安心して待つことができる
  3. 1.2により、待つこと自体を不満に思うことなく(多くの場合、待っているという感覚すらなく)待つことができる

ファストパスがあることで、例えば、ファストパスを確保し、指定時間になるまで別のアトラクションに(スタンバイの列に並んで)搭乗したり、ショップやレストランで買い物や食事を楽しんだりしたうえで、指定された時間に該当するアトラクションのファストパスの列に並び、優先的に搭乗できるようになります。このため、来園客としては、「待っている」というよりも、「自分の順番を確保した上で時間を有効に使っている」、という感覚を持つことができます。

施設側の主なメリット

一方で、ファストパスは、実は施設側にもメリットの多いサービスです。主なメリットとしては下記があげられます。

  1. 来園客がリゾートを満喫し満足度が上がるため、リピート率を上げることができる
  2. 1と同様の背景から、よい口コミを増やすことができる
  3. 混雑を分散させ、スタンバイの列も含めた全体の待ち時間を平準化することができる
  4. 3により、キャストの適正配置が行いやすくなる
  5. 来園客が行列内で身動きの取れない時間を短くすることで、来園客が「お金を落とせない」時間を短くすることができる
  6. 長時間待たされる来園客のイライラに対するスタッフの対応負担を減らすことができる

上記はあくまで、適切な枚数のファストパスが発行されるという前提に立ったものですが、来園客、施設側ともに実に多くのメリットを享受できることをご理解いただけるかと思います。

<ファストパス>に学んで予約システムのメリットを最大化する「時間帯予約」

このように、来園客にとっても施設側にとってもメリットの多いファストパスですが、クリニックの業務に適した形でそのメリットをもたらすことができるのが、「時間帯予約」です。

詳細なご説明をする前に、まずはここで言う「時間帯予約」の正確な定義について整理しておきます。

ここで言う「時間帯予約」とは、例えば1時から30分の枠で予約をしたとすると、「1時から1時半の間を目安に診察を行いますよ」と患者様とお約束するものです。よく言われる「日時指定予約」の場合には、「◯月◯日◯時の診察」、という形で、診察時間を予め抑え、基本的にお約束した時間通りに診察や処置を開始するケースもあるかと思いますが、「時間帯予約」の場合には、「時間」ではなく「時間帯」をお約束し、その時間帯内を目安に通常の順番制と併用する形で診察を行っていきます。

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<「順番制+時間帯予約」のイメージ>

こうした運用がフィットしやすいのは、患者数が比較的多く、また、美容整形や心療内科のようにはプライバシー保護のニーズが強くない診療科、つまり、内科、小児科、整形外科、耳鼻科、眼科、皮膚科等があげられるかと思います。

また、枠の長さは考え方や診療スタイルにより様々かと思いますが、一般に短すぎると管理が煩雑になる一方で「時間通りに診てもらえない」ことへの患者様の不満が増えてしまいますし、長すぎると患者様にとっては「時間が読めない」、クリニックにとっては「患者数が読めない」状態になってしまいます。このブログでも度々ご紹介しているスマイル眼科クリニックをはじめ、3Beesのユーザーの先生方においては、概ね30分間を目安(9:00の枠の次は9:30の枠、という具合)に枠を組んでいらっしゃる場合が多いようです。

ここまで、ディズニーリゾートの<ファストパス>の概要、および、<ファストパス>に学ぶクリニックにおける予約システム活用法として「時間帯予約」の概要をご説明してきました。次回第2回は、「時間帯予約」の効果を最大化するための運用方法についてご紹介します。

【主な参考文献】
Rachelle F. Cope, Robert F. Cope III, Anna N. Bass,Holly A. Syrdal(2011), Innovative Knowledge Management At Disney: Human Capital And Queuing Solutions For Services,Journal of Service Science
服部有沙(2009),東京ディズニーシーにおけるファストパスの効果 —トイ · ストーリー · マニア!を例として—
佐々木桐子(2017),東京ディズニーシーにおけるファストパスの有効性に関する研究,新潟国際情報大学
楊浩勇(2017),電子カルテ・レセコンと連携した診療業務支援ソフトをどう使うか,診療所のIT化ガイド2017





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