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レセコン・電子カルテに次ぐ第三の医療IT「PMS(Practice Management System)」とは?

2017年9月4日 at 12:10 PM

PMSとは

医療費抑制・医院過剰・人手不足などを受けて、日本のクリニックは今、転換期を迎えています。ITを活用した経営・業務改善の重要性はかつてないほど高まっています。そこで、今回はレセコン・電子カルテに次ぐ第三の医療ITとして期待される医院マネジメントシステム(PMS)について、その定義や現場の事例をご紹介します。

PMS(Practice Management System)とは?

PMS(Practice Management System:医院マネジメントシステム)とは、医療ITのひとつのカテゴリーで、クリニックにおける経営の悩みや現場業務の負担を軽減するために必要なマネジメントをサポートするためのソフトウェアの総称です。医療ITといえば、まず思い浮かぶのはレセコンと電子カルテだと思いますが、これらがカバーするレセプト請求や診療録の作成以外のクリニックの経営や業務をサポートするのがPMSです。具体的には、診療予約、順番管理、患者デモグラフィックス分析、経営分析などのソフトウェアが含まれます。
医療IT
日本ではまだ馴染みの薄いPMSですが、欧米のクリニックでは電子カルテ以上に普及しています。筆者がPMSに出会ったのも、日本医師会の委託研究で米国に留学していたときのことでした。米国では医院間の競争が激しいため、医院経営者のマネジメントに対する意識も総じて高い傾向にあります。このため、ITを活用した経営の合理化や業務の効率化にも非常に積極的で、PMSは医院経営に欠かすことのできない重要なツールと考えられています。
一方、日本においては、2000年以降、レセコンや電子カルテの普及に伴い徐々に医療現場でITが活用されるようになってきました。しかし、米国のように医院間の競争環境がまだ厳しくなかった日本では、マネジメントをそう意識せずとも経営に困ることが無く、それゆえにPMSが注目される機会が少なかったものと考えられます。
しかし、この数年で医院の経営環境は大きく変化。診療報酬の抑制や医院間の競争激化などによる患者数の減少、コストの上昇が現実的なものとなりました。継続的に質の高い患者サービスを提供するためには、限られたリソース(設備、時間、スタッフなど)をいかに効率的に使うかという、いわゆるマネジメントの考え方が必要不可欠になってきました。医院経営の悩みや課題が増えるなかで、いよいよ、日本においてもPMSに対するニーズが顕在化して来たと考えられます。

医院経営の悩みや課題を解決するためのIT

日本の医院経営者は、どのようなことに悩みや課題を感じているのでしょうか?筆者らが、医院経営者向けに「医院の悩みや課題」についてアンケートを実施したところ、以下のような回答が寄せられました。

医院の悩みや課題(自社調べ)

<医院の悩みや課題(自社調べ)>


とりわけ多くの医院経営者の悩みのタネとなっていたのが、「待ち時間が長い、波がある(87%)」。待ち時間は患者の不満に繋がりやすいため、再受診率が低下したり、口コミサイトにネガティブなコメントを書かれてしまうことで新規患者が減少したり、といったリスクがあります。また、患者さんからの問い合わせやクレームが増えることで、スタッフのモチベーション低下やストレス増大、離職や残業時間の増加など広い範囲に問題が連鎖します。多くの医院経営者が課題として挙げたのも頷けます。
その他には、「患者数の伸び悩み、減少(67%)」「人手不足、職員確保(60%)」「診療報酬の減少、査定等(40%)」など、いずれも近年の経営環境の変化を如実に反映した結果となりました。
これらの悩みや課題は、従来からの医療ITであるレセコンや電子カルテだけでは解消することができず、増え続ける医院の課題に対処するためのマネジメント手法と、マネジメントをサポートするためのITツールが望まれるようになりました。

海外ですでに普及しているPMSのコンセプトに基づき、筆者らは日本の医院が抱える課題を解決するための日本版PMSの開発を2011年頃から本格的に始めました。まずは、多くの医院の悩みである待ち時間の短縮と、受診患者数の曜日や時間帯による変動の波を解消する目的で、診察順番管理ソフト診察予約ソフトを開発、続けて患者の再受診の向上並びに受診アドヒアランス向上を目的とした次回受診目安票を作成するソフトを開発しました。

PMSを活用した改善策とその効果

必要な再受診を促し適正化

医院の収益を改善するためには、1. 患者数を増やす、2. 診療報酬単価を上げる、3. コストを下げる、といった方法が考えられます。また患者数減少の原因が、「新規患者」なのか「再来患者」なのかで対策が異なりますから、両者は明確に区別する必要があります。筆者がまず取り組んだのは、再来患者数を適正に増やすことでした。
再来を適正化する対策として、(1)診察終了時に患者さんに次回の受診目安時期を口頭でお伝えするだけでなく紙に書いてお渡しする、(2)診察終了後に必要に応じて次回の診察予約を入れることを実行しました。これらの施策の結果、同月の再受診率は4%ほど向上しました。

予約枠のコントロールで患者数を平準化し、待ち時間を短縮

患者数が増えれば、通常待ち時間は比例して長くなります。しかし、待ち時間が長くなると患者満足度の低下や再受診率の低下を招くジレンマが起きます。そこで、スマイル眼科クリニックが、患者数増と待ち時間短縮を両立させるために用いた対策が、「患者数の平準化」です。
曜日別や時間帯別の患者数を分析したところ、患者数に大きくバラツキがあることがわかりました。筆者らは、このバラツキを小さくすることができれば、待ち時間を短縮することができるのではと考えました。

曜日別患者数の変化

<曜日別患者数の変化>


そこで、直来(予約なし)の患者数が多い曜日や時間帯は予約の受入患者数を少なく設定し、患者数が少ない曜日や時間帯は予約の受入患者数を多く、という具合に予約枠を調整することにしました。また、医院の混雑状況をリアルタイムにホームページ上で表示。これらの施策の結果、曜日ごと、時間帯ごとの患者数はある程度平準化され、平均待ち時間を12%短縮することができました。
平均待ち時間の変化

<平均待ち時間の変化>

業務の効率化と経営の合理化で、コスト削減を試みる

深刻な人手不足や最低賃金の上昇を受けて、人件費及び採用費の増大は深刻な問題です。特にクリニックにおける全コストに占める人件費関連コストの割合は一般的には6割から7割と高いことから、人件費の抑制は収益上最重要な課題でもあります。
そこで、業務の効率化に目を向け、(1)インターネット予約の導入による電話受付業務の削減、(2)待合室での順番表示システムの導入による受付への問い合わせ・クレームの削減、(3)自動再来受付の導入による受付業務の削減などに取り組んできました。前述した患者数平準化の効果もあいまって、スタッフの業務効率(注:「患者数÷スタッフ数」を業務効率の指標としています)はPMS導入前と比較して37%改善しました。
さらに、増え続ける広告宣伝費を見直すために、新規患者の問診票から来院媒体別患者数を測定。各媒体(ホームページ、看板、タウンページ、タウン誌など)別の費用対効果を1年に1度ぐらいの頻度で計測し、不採算な媒体への出費を控えるようにしました。

おわりに

本稿では、PMSのカテゴリーに属する代表的なソフトを活用した効果の一部を紹介させていただきました。PMSは、医院の悩みや課題を帳消しにする魔法の杖ではありませんが、医院におけるマネジメントの重要性を正しく理解し、経営の悩みを解決して安心して患者さんに質の高い医療サービスを提供したい、とお考えの医院経営者にとっては、強力な味方になってくれることでしょう。近い将来、日本でも、PMSに属する数々の有益なソフトが医院の現場で使われていくことと予測されます。
もし、医院の経営に課題を感じているが何からはじめていいかわからないという方や、日本版PMSである3Beesについてより詳しく知りたいという方は、弊社の担当がご支援させていただきますので、こちらよりどうぞお気軽にご相談ください。





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