THE 3Bees POST



患者満足度調査によるクリニック経営の見える化(後編)

2018年8月1日 at 12:22 PM

 一般的に、企業の経営状態を健全に保つうえで、客観的な指標をもとに定期的なチェックと改善を行うことが重要なのは、言うまでもないでしょう。一方で、「クリニック経営」となると、医師と経営者という二足のわらじを履く院長先生にとっては、そう一筋縄ではいかないのも事実です。押し寄せる患者様と日々の治療に忙殺され、専門外の経営に煩わされて頭を悩ませているドクターも多いのではないでしょうか?本稿では、前回ご紹介した方法に基づいてクリニック経営を見える化し経営の改善に役立てる方法を、実例を交えてご説明します。

スマイル眼科における実践例

 前回は、患者満足度調査を行うにあたって必要な基本的考え方、アンケートの設問や運用方法をご説明しました。実際にスマイル眼科では、iPadにBee患者満足度調査アプリをインストールして患者様からのアンケートを集めています(図1)。

図1 Bee患者満足度調査アプリによるアンケート画面

 ある月のアンケート集計結果の一部をお見せしましょう(図2)。こちらの画面も、Bee患者満足度調査アプリの院内用画面から抜粋したものです。

図2 Bee患者満足度調査アプリの院内用集計結果

 ご覧のように、集計結果は回答数と全体に占める割合の数値で表示され、満足度がひと目で分かるようになっています。また、任意の期間の経時変化についても、グラフの形で表示できます(図3)。

図3 Bee患者満足度調査アプリの院内用集計結果経時変化グラフ

 このほか、患者様からのコメント(自由入力欄)については、「良い」と評価された方のみ、あるいは「悪い」や「評価にかかわらず」といった条件で、入力されたテキストを一覧表示できます(図4)。

図4 ある月に「良い」と評価された方に添えられていたコメント

得られる効果と継続的改善

 スマイル眼科では、待ち時間とあわせてこれら患者満足度調査の結果を患者サービスの指標と位置づけ、できるだけ良い結果を出せるよう、職員一丸となって継続的改善に取り組んでいます。客観的な数値指標があることで、誰もが納得できる平等な評価をもとに改善活動ができますし、自由入力欄があることで個別の問題を見つけやすくなっています。

 たとえば、以下のような悪いコメントがあると、対応した本人にも反省のきっかけになりますし、チーム全体でも改善のための意見を話し合うことができます。

  • 「受付の方の対応は少々無愛想で、次にどのように動いたらいいのか(座って待っていていいのかなど)が分からなかったです」
  • 「視力検査をされた方の感じがものすごく悪く、別の方に変えて欲しいとお願いするところだった」
  • 「とにかく待ち時間が長い。 1時間半以上はかなり苦痛です。 申し訳ないですが、次回は別のクリニックに行きたいと思います」

 人間は、往々にして悪い結果を隠したくなるものですし、ちょっとした無精やミス、人間関係のもつれによって問題が拗れてしまうことも多くあります。そういった小さな問題を大きくなる前に発見し、皆で対処できるようになれば、患者様の満足度を上げることができますし、職員のやりがいや働きやすさも向上できるでしょう。その点で、患者満足度調査はクリニック経営にとって非常に有効です。

 また逆に、自由入力欄を設けていると、患者様から温かなコメントが思いの外たくさん寄せられることに気づきます。

  • 「いつも笑顔の優しいスタッフの方がいらっしゃると安心します。 今日は待ち時間が短かくて、良かったです」
  • 「検査の時に子どもに上手に接していただき、子どもも安心している様子でした。 最後に飴をもらえて上機嫌でした」
  • 「ほっとする気持ちで通院しています。もっとはやくここを受診すれば良かった!」
  • 「先生をはじめ、みなさんとても親切でいつも気持ちが良いです。先生は良い意味で厳しく、患者のことを考えてくれていると思います」

 こういった励ましのコメントも、職員のやる気とやりがいを引き出してくれます。「頑張ってよかった」「また次も、期待に添えるよう頑張ろう」という気持ちを奮い立たせてくれ、一丸となってクリニックをさらに良くしていこうという継続的な改善の原動力にもなるでしょう。

 このほか、Bee患者満足度調査には、悪い評価がされた場合に一刻も早く気付けるよう、設定したメールアドレスにアラートが飛ぶような機能も備えており、早急な対応を取ることが可能です。

理想のクリニック実現のために

 患者満足度調査は、一義的には患者様の満足度(PS:Patient Satisfaction)を計測し、接遇改善や不満因子の発見・改善に役立てられます。しかし、その効果は患者満足のみにとどまりません。客観的指標が得られることで、職員にとっても改善のためのオープンな議論が可能になり、クリニック運営の理想形共有や改善活動に役立てることが可能です。ひいてはそれが職員のやる気ややりがい、満足度(ES:Employee Satisfaction)を向上させ、患者満足度にも好影響を与えるスパイラルとなり得ます。ぜひ皆様のクリニックでも患者満足度調査を導入し、理想とされるクリニック運営のためのベストプラクティスを探していただければと思います。

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