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医療分野のIoTの進展

2018年12月6日 at 5:21 PM

医療分野のIoTの進展

ここ数年、新聞等で「IoT」という言葉を目にすることが増えてきましたね。「IoT」とはInternet of Thingsの略で、一般的には「あらゆるモノがインターネットにつながり、様々な場所に情報が送信され活用される仕組み」と定義されています。実はこの仕組みは私たちの生活の様々なところで活用されつつあり、医療の世界でも「IoT」という言葉が少しずつ浸透してきているのです。本稿では、今後の超高齢社会を踏まえて、IoTの活用が医療の世界にどのような変化をもたらすのか考えてみましょう。

IoT活用の流れ

IoTの具体例としては、「ウェラブルバンド」が真っ先に思いつく方も多いでしょう。ウェアラブルバンドとは、腕時計のように腕に巻くだけで活動量(運動量)や脈拍などが測定でき、自動的にクラウドデータベースに蓄積されるという活動量計です。「スマート家電(最近ではIoT家電と呼ばれることもあります)」も最近良く耳にする言葉です。これは、たとえば冷蔵庫のドアの開閉や、エアコンの消し忘れなどをスマートフォンやPCで遠隔監視でき、家全体の家電を管理できるというものです。

IoTを活用することで、

  1. 情報の取得(遠隔センサー、遠隔カメラ等から取得)
  2. 取得したデータの送信・蓄積(ネットワークによりクラウドサーバに送信・蓄積)
  3. 蓄積されたデータはAI等を利用して分析
  4. 分析結果をフィードバック

といったことが可能になります。

さらには、データ分析の結果から起床リズムや帰宅時間などを予測し、自動的にエアコンのオン・オフどころか、適正な室温まで管理できるようになるのです。このような技術を医療でも利用する動きは当然の流れといえるでしょう。

遠隔モニタリング加算の新設

2018年4月の診療報酬改定では、オンライン診療に関する診療報酬が新設されたほか、遠隔モニタリングに関する対応が拡充されました。従来の「心臓ペースメーカー指導管理料」に続いて、「在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料」と「在宅酸素療法指導管理料」といった遠隔モニタリング関連の加算が新設されています。

表 遠隔モニタリング関連点数
項目 内容
心臓ペースメーカー指導管理料 遠隔モニタリングに対応した体内植込式心臓ペースメーカー等を使用している患者であって、入院中の患者以外のものについて、機能指標の計測等適切な管理を行い、状況に応じて適宜患者に来院等を促す対応を行う。
(新)在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料 「在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2」を算定し、CPAP療法を実施している患者について、対面診療の間に、情報通信機器を用いて着用状況等モニタリングを行った上で適切な指導・管理を行い、状況に応じて適宜患者に来院等を促す対応を行う。
(新)在宅酸素療法指導管理料 「在宅酸素療法指導管理料2(その他の場合)」を算定しているCOPDの病気がⅢ期・Ⅳ期の患者に対して、対面診療の間に、情報通信機器を用いて血圧、脈拍、酸素飽和度等のモニタリングを行った上で適切な指導・管理を行い、状況に応じて適宜患者に来院等を促す対応を行う。

このように遠隔モニタリングが評価された背景には、インターネットの普及とともに、距離が離れたところから遠隔監視できるセンサーやカメラなどの技術が急速に普及していることが、要因としてあげられます。

遠隔モニタリングの未来

医療やヘルスケア分野で遠隔モニタリングが進むことは、今後医療費の抑制、人件費の削減、医療介護スタッフの負担軽減という観点からも大きな効果が期待できます。たとえば、ベッドシーツの下にセンサーを敷くことで、患者の離床が分かるだけでなく、呼吸や脈拍、寝返り、排泄などのモニタリングやタイミングの予測なども行えるようになるのです。

在宅や介護の現場でこれらの技術が導入されることで、夜間の訪問や巡回の回数を大幅に減少させることも可能となるでしょう。その結果、さまざまな看護師・介護士の負担軽減や、健康状態の遠隔モニタリング、さらには廃用症候群の予防などへの活用にも期待できます。

病気にならないことが最も効果的な医療費抑制策のため、今後医療では予防分野がますます注目されると考えます。予防医療においても遠隔モニタリングの普及は大きく貢献するでしょう。バイタルデータをモニタリングすることで、早期発見、早期治療ができるだけではなく、AIの活用によって病気になりやすい問題行動をエビデンスをもって洗い出すことも可能になるのです。


今回の改定で遠隔モニタリングの窓が大きく開きました。次の改定ではさらなる評価を期待していますが、2年に1回の診療報酬改定での変更では追いつかないほど、IoT技術は急速に発展を続けています。診療報酬の評価だけではなく、補助金なども組み合わせて積極的に政府が後押ししていただくことを期待します。

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