デジタル時代の医療スタッフ像とは?

新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、医療の世界に「急速なデジタル化」をもたらそうとしています。新型コロナの陽性者数の報告、集計や、2月から始まったコロナワクチン接種での予約や実施報告など、様々な場面でデジタル化の重要性を痛感するシーンに遭遇しているのではないでしょうか。パソコンが苦手、ITが苦手と言ってられない状況があるのです。このような状況で、院長のサポートをするスタッフへ求める人物像にも変化が見られます。

デジタルネイティブ

 いまの若者は生まれた時からパソコンもスマホが当たり前に存在し、デジタル機器を普通に使いこなすことが可能です。普段のコミュニケーションもLINEなどのSNSを簡単に利用し、電話の方が苦手と話す方も少なくないでしょう。これら生まれながらにデジタルに馴染んでいる人を「デジタルネイティブ」と呼んでいます。
 彼らの特性をよく理解すれば、ホームページやSNSの管理を任せると意外な才能を発揮したりします。動画の作成も趣味でできる方もいらっしゃいます。デジタルマーケティング全盛の時代、広報担当として大きな役割を担うでしょう。
 一方で、デジタルに馴染み過ぎていて、パブリックとプライベートの境界線があいまいであることも一つの特性です。個人情報やセキュリティの意識が低いのです。ここについては、トレードオフの関係にありますので、最初のうちから医療が取り扱う情報が、いかに公共性が高いのか、我々が取り扱っている情報がいかにセンシティブな情報なのかをしっかり教えておくことも大切です。

コンシュルジュ

 長引くコロナ禍によって、一部の業界は大きなダメージを追っています。飲食業界やデパート業界、旅行業界など飲食や娯楽に関する接客業は3密を避けて、移動を少なくすることが求められる時代は非常に厳しい状況が続いています。このような時に転職の受け皿になるのが、医療業界です。これまではなかなか見かけなかった職種の応募が増えることが予想されます。仮に運よくCAなどを採用できたならば、もともと接遇意識も高くサービスレベルも高いので、コンシェルジュや医療クラークなどに配置すると実力を発揮いただけることでしょう。お客様を喜ばせることをやりがいにしてきたという経験が医療でもしっかりと役立つのです。先に紹介したように、デジタル化が急速に進むと、一番困るのは患者です。デジタルに慣れてない患者をサポートする人材としてうってつけと言えるでしょう。

働き方改革

 コロナ以前より、働き方改革関連法案が順次施行されており、残業の上限規制や有休の確実な取得、休憩時間の適正化など、わが国の働き方を見直す動きが活発化しています。そのような中で育った若者は、「残業したくない」「有休をとりたい」と考えるのは当然の流れでしょう。「自分の若いころはそんなことは考えもしなかった」といっても、時代が変わってきていますので老害的な発言と煙たがれてしまうだけです。ここは頭を切り替えて、どうすれば生産性を高め、効率意識の高いチームに仕立てあげるかが大切です。
現在は、コロナ禍で行動が大幅に規制されており、友人と会えず、飲み会などもなくなり、個人で過ごす時間が増えています。そのような個人志向が強まっている若者を、クリニックのチームに入れて機能させるためには、「誰のために働くか」という根本的な考え方から教える必要があります。仕事は「事に仕える」と書きます。仕えるとは、誰かのために働くという、仕事に対する価値観をしっかり植え付ける必要があるのです。

いま、長引くコロナ禍で産業構造が大きく変わりつつあります。医療にとっては大きなチャンスと言えるでしょう。可能性を多分に秘めた若者がせっかく医療の門を叩いてくれているのです。若者の特性を十分に理解して、彼らの持つ長所を生かしながら、短所をフォローし、いま急速に進む医療のデジタル化に対応できる職場へとシフトしていただきたいと思います。

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