眼科クリニックが予約システムを活用する際に押さえておきたい3つのポイント

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近年、予約システムを導入するクリニックが増えていますが、その活用方法は様々です。予約システム導入の効果を最大限引き出すためには、診療科の特性に合わせた運用と継続的な改善が欠かせません。そこで本稿では、眼科クリニックにおける予約システムの活用方法についてご紹介します。

まず、前提となる予約システムの活用方法の基本については、下記の記事をご参考にしていただければと思います。

【参考】クリニックで予約システムを導入・活用するためのポイントとは?

本稿では、上記の考え方を踏まえた上で眼科クリニックにおける予約システムの活用方法について掘り下げてみたいと思います。

眼科クリニックにフィットした予約システムの活用方法を検討する前に、まず、眼科クリニックの特徴を整理してみましょう。
眼科クリニックの特徴としては、下記の3点があげられます。

(1)患者数が比較的多い
(2)患者の年齢層が幅広い
(3)検査が多い

今回は、上記の眼科の特徴を踏まえ、同時に、医療機関の悩みの種のひとつである「患者数の波」を解決する視点も加えて3つのポイントをご紹介したいと思います。

<ポイント1>順番取り(順番予約)で、待ち時間を短縮し診療を効率化する

先ほど述べた通り、眼科は比較的患者数の多い診療科です。少し古いデータになりますが、厚生労働省による医療経済実態調査によれば、眼科の無床診療所における1日あたりの平均患者数は67.4人となっており、これは皮膚科、耳鼻咽喉科に次ぐ数字です。

1日の患者数が多い診療科では、予定していた時間通りに診察を行うのは難しいため、日時予約ではなく順番取り(順番予約)が好まれる傾向にあります。

順番取り(順番予約)を導入することは、同時に、院内に順番を表示したり、また、インターネット上で患者様ご自身が待ち時間の目安を確認できたりする環境を作ることになりますから、患者様の満足度を向上したり、待合室にゆとりを生み診療をスムーズしたりする効果が期待できます。

そして、順番取り(順番予約)を導入する際の一つのポイントとなるのが、予約の受付方法です。代表的なものとしては以下が挙げられます。

(1)院内の窓口で受け付ける
(2)電話で受け付ける
(3)インターネットで受け付ける

(1)は、最も基本的な方法ですが、患者様にとってはわざわざクリニックまで出向かなければ予約を取ることができず、特に仕事や子育てに忙しい世代にとっては不便に感じられることもあるでしょう。

(2)は、患者様はクリニックに出向くことなく予約できるので便利ですが、その分クリニックの電話対応の負担が増えてしまうというデメリットも生じます。

(3)は、インターネットで番号札を取れるようにするもので、「オンライン順番取り」と呼ばれることもあります。患者様はスマートフォンなどで簡単に予約を取れるようになりますし、受付はシステムが自動的に行ってくれますので、スタッフの負担もおさえられます。患者様とクリニック双方の負担が軽減されることから、導入のメリットは小さくないでしょう。

PCやスマートフォンでの操作が必要なため、ご高齢の患者様が使いづらいなどの課題もありますが、ご高齢の患者様が診察開始前に来院して待っていることが多いクリニックでは、あらかじめ1〜10番を院内用におさえてしまう等の工夫をされている例もあるようです。

<ポイント2>曜日や時間帯ごとに予約患者数を調整した「日時予約」で、患者数の波を平準化する

ポイント1で、眼科は比較的患者数が多いため順番取り(順番予約)を採用するケースが多いと述べましたが、日時予約が全く適していないかというとそんなことはありません。工夫次第で、順番取り(順番予約)では得られにくい効果を期待することもできます。

それが、「患者数の平準化」です。患者数を平準化、つまり、空いている時間帯に患者様を誘導して患者数が常にほぼ一定になるようにすることで、患者様にとっては待ち時間の少ない診療を期待できますし、クリニックにとっては、効率的で負担感が少ない落ち着いた診療を実現しやすくなります。また、患者数が平準化されると、クリニックにとっては「暇になったような感覚」を覚えやすいようですが、実際にはより多くの患者様を診察することが可能になります。

患者数の平準化についての詳細はこちらの記事でお読みいただけますのでここでは割愛しますが、「患者数の平準化」を実現する上で「時間予約」が大きな力を発揮します。そして、その際に大切になるのが、予約枠ごとの患者数の上限を上手にコントロールすることです。

患者数平準化のイメージ

図:患者数平準化のイメージ

眼科の場合、前述の通り患者数が多いので、すべてを時間予約で対応しようとするとどうしても無理が生じてしまいます。したがって、どの時間帯も予約なしの患者様に対応する余裕を残した上で、「患者数を平準化」、つまり、「空いている時間帯に患者様を誘導する」ことを主眼として予約患者数の上限を設定していきます。例えば、患者ひとりあたりの診察時間が5分程度とします。この場合、30分で6人診察することができますが、30分の予約枠に対して設定する予約患者数の上限を、もともと混んでいる時間帯であれば1〜2人、逆に空いている時間帯は4〜5人といった形で設定します。

このような形で時間予約を導入することで、眼科のような比較的患者数が多い診療科でも、患者様の利便性と満足度を向上するのと同時に、患者数を平準化して業務を効率化することが可能になります。

<ポイント3>特定の検査や処置は予約帳を分けて管理する

他の診療科と比較して検査や処置が多いのも、眼科の大きな特徴です。例えば、視野検査や視能訓練士(ORT)の斜視弱視訓練などの時間がかかる検査を行う場合は、突発的に患者様が重なると、長時間に渡って患者様をお待たせしてしまうことも起こりえます。霰粒腫(さんりゅうしゅ)手術などの小手術を行う場合も同様です。

上記の対策としては、特定の検査や処置について、通常の診察とは予約帳を分けて管理するという方法が考えられます。通常の診察は予約帳Aで管理し、特定の検査や処置に関しては予約帳Bで管理するという具合です。このように患者様の症状や検査・処置の内容によって予約帳を使い分けることで、特定の検査機器の前に行列ができてしまうことを未然に防ぎ、よりスムーズな診療を期待できます。

おわりに

いかがでしたか。上記はあくまでも一例となりますが、予約システムの導入や活用をご検討されている眼科クリニックの先生の一助となれば幸いです。また、冒頭でもご紹介しましたが、下記の記事でも予約システムの導入・活用する際のポイントについてご紹介しておりますので、ぜひ併せてご覧ください。

【参考】クリニックで予約システムを導入・活用するためのポイントとは?





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