患者数の平準化で増患と集患を実現する3つの方法

患者数の平準化で増患と集患を実現する3つの方法

クリニック経営において患者数のコントロールは大きな課題です。
患者数が多いのは望ましいことですが、院内が混雑している状態が続くと患者満足度が下がり患者数を減少させる原因になる可能性もあります。そこで、今回は「平準化による増患」をテーマに、院内の過度な混雑や患者満足度の低下を防ぐ一方で増患を実現する方法を3つご紹介します。

クリニック経営における平準化のメリットとは?

平準化といえばトヨタ生産方式が有名ですが、クリニック経営での平準化は、「突出して混んでいる時間帯や曜日など、偏って混雑している状態を回避し、キャパシティを最大限活用できる状態を維持すること」とイメージしていただければと思います。

クリニックにおいては、医師やスタッフ、医療機器の数がそれぞれ決まっているため、時間あたりに診られる患者数には限界があります。そのため、いかにそのキャパシティを効果的に活用できるかが増患対策のカギとなります。

また、患者数をクリニックのキャパシティに対して少し余裕のある状態で一定に保つことで、患者やスタッフのストレスが低減し、診療をよりスムーズに行うことが可能になります。

つまり、患者数を極力平準化することは、ストレスの少ないスムーズな診療と増患との両方を実現する、非常に効果的なクリニック運営の手法であると言えるでしょう。

患者数平準化のイメージ

図:患者数平準化のイメージ

第5回 日本の医療に関する意識調査』においても、患者さんが抱く不満の1位(44.4%)は待ち時間の長さです。平準化でスムーズな診察を実現し待ち時間を短縮することで、患者さんの満足度も上がり再診による増患も見込めます。それでは早速、患者数の平準化で増患を実現するための3つの方法を確認してみましょう。

方法1.地域患者のライフスタイルに合わせた診療時間設定を行う

まずは、自分のクリニックに来院する患者さんのライフスタイルに合わせた診療時間の設定ができているかを改めて検討することをおすすめします。平準化による増患を進めていくにあたり、「潜在的に、その曜日・時間帯に多くの患者数を見込めるのか」を見極める必要があります。

たとえば、サラリーマンが多く住む地域でクリニックを運営される場合は、平日の診療時間を帰宅時間に合わせて遅めに設定する、土日の診療を行う、などが考えられます。また、インフルエンザや冬の風邪など、一時的に患者さんが増える時期がある場合は、その期間だけ診療時間を調整するのもよいかもしれません。

地域の患者さんのライフスタイルを反映した診療時間設定を行うことで、診察時間に合わせた「駆け込み診察」が減少するため、過度な混雑の緩和につながる一方、より広い患者層を獲得できる可能性が生まれます。

地域の住民のライフスタイルや来院された患者さんからのヒアリングから、適切な診療時間の設定を検討してみてください。

方法2.ホームページや院内の掲示板等で、混雑日時に関する情報発信を行う

平準化の2つ目の方法は、混雑状況を患者さんへしっかりと通知することです。「この時間は混むのか」ということを事前に知らせることで他の時間への来院を促します。

また、初診で混在する曜日や時間に来院してしまった場合「このクリニックは混んでるなぁ」というイメージをもってしまいがちなので、院内掲示などを利用して比較的混雑していない時間などを周知しましょう。

高齢者の患者さんが多い場合は、まずは院内掲示を中心に情報発信を行いましょう。若い方が多い場合はホームページで混雑状況に関する情報を発信すると効果的です。

方法3.時間予約システムを導入し、時間帯ごとの患者数を調整する

3つ目は、時間予約制と予約管理システムの導入です。

診療予約システムは、導入すると患者数が減ると誤解されがちですが、それはすべての診療を予約で回そうとしてしまうためです。すべてを予約で回そうとはせずに、患者数を平準化するためのツールとして、時間予約システムを上手に活用しましょう。

たとえば、予約なしで診られる患者さんのための余裕も常に確保しながら、「いつも混雑している時間帯の予約は30分に1人のみ、空いている時間帯は30分に3人」等と時間予約の上限を設定するのです。

やりながら枠の設定を調整して、クリニックの診療を「常にキャパシティの上限近くで少し余裕のある状態」に近づけていきましょう。

また、クリニック向けの予約システム次回受診目安票などを発行し、時間的に余裕のある患者さんをできるだけ空いている日時に誘導するのも平準化を進める重要なポイントです。

患者数の平準化でクリニック経営を効率的に

職員の数は通常ピークの患者さんの数に対応できるように確保する必要があります。患者数が平準化されれば、増患が期待できるだけでなく、少ないスタッフでも効率よくスムーズな診療を行えるようになります。増患だけでなく人件費削減にも役立つ平準化。まだ実践されていない場合は、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。




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